1 事案の概要
被害者が自転車を運転中,普通貨物自動車と出合い頭衝突し,被害者が頚椎捻挫,末梢性神経障害の診断を受けた人身事故案件です。安心して治療に専念したいとのことで,事故直後より当事務所にご依頼をいただきました。
2 休業損害仮払いに関する対応
通常,休業損害は,交通事故直前の3か月間の平均賃金から1日あたりの賃金を算出し,休業した日数(有給休暇消化含む)を掛けた金額の支払いを受けることになります。もっとも,依頼者は,事故直前に現在の職場でのアルバイト勤務を開始しており,過失割合について争いもあったため,保険会社が休業損害の支払いに難色を示しており,休業による生活費の不足が依頼者の生活に直に影響していました。
そこで,当事務所では,労働契約書及び賃金台帳の記載から,おおよその1日あたりの賃金を算出し,依頼者の窮状も訴えながら保険会社と交渉し,早急に休業損害の仮払いを受けることができました。
3 後遺障害等級認定に関する対応
後遺障害等級認定にあたっては,主治医の作成する「後遺障害診断書」が極めて重要な意味を持ち,後遺障害診断書の記載内容によって,認定結果が大きく変わることが統計上明らかとなっています。
そこで,当事務所ではまず,主治医の先生に後遺障害診断書をご作成いただくにあたり,診断書の記載方法,弁護士の聞き取った依頼者の自覚症状,実施してもらいたい検査方法(各種神経テスト,筋力検査,筋電図,電気生理学的検査,可動域検査等)を詳細に記したお手紙を作成し,主治医の先生にお読みいただいたうえで後遺障害診断書をご作成いただきました。
次に,ご作成いただいた後遺障害診断書の内容,交通事故証明書,診断書,診療報酬明細書等の一式資料に基づき,後遺障害に関する弁護士の意見書を作成し,後遺障害等級認定を行う調査事務所に送付いたしました。
結果,主治医の先生に実施していただいた十分な神経学的検査が功を奏し,明らかな外傷性の異常所見や脊髄・神経根の圧迫所見が見られないにもかかわらず,「局部に神経症状を残すもの」に該当するとして,後遺障害14級9号に該当するとの判断がなされました。
4 過失割合に対する対応
当初保険会社は,交通事故時に被害者が傘固定補助器具(さすべえ)を傘に取り付けて走行していたことを指摘し,「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズNO.38,東京地裁民事交通訴訟研究会編)の記載上,傘を差すなどしてされた片手運転(道路交通法70条)が,自転車特有の著しい過失として挙げられている点を根拠に,被害者に「著しい過失」があることを前提にした過失割合を提示していました。
これに対し,当事務所では,傘固定補助器具(さすべえ)を利用しての両手運転は,片手運転の場合と事故発生の蓋然性,危険性の点において大きく異なるため,「著しい過失」を根拠付けるものではないことを主張し,「著しい過失」がない場合と同様の,基本的な過失割合で和解に至ることができました。
5 逸失利益に関する対応(家事従事者の基礎収入)
当初保険会社は,依頼者の実際のアルバイト収入(年間数十万円程度)に基づき,逸失利益における基礎収入を主張してきました。もっとも,依頼者は,主婦として家事をこなす傍ら,空いた時間で家計を助けるためアルバイトに従事しており,実際のアルバイト収入を基礎収入とすることは,依頼者の家事労働分を一切無視しており,交通事故被害に遭った家事従事者の法的保護を正当に図った各種裁判例の趣旨に反するものと思われました。
そこで,当事務所は,①家事従事者とは,「性別・年齢を問わず,家族のために家事労働に従事する者」をいうところ,依頼者は夫と二人で同居をしており,主婦としてパートをしながら家事労働を行っているため,家事従事者に該当することは明らかであること,②家事従事者の基礎収入は,賃金センサスを基礎とし,有職の主婦の場合,実収入が上記平均賃金以上のときは実収入により,平均賃金より下回るときは平均賃金により算定するとされていることを主張し,結果として,賃金センサスにおける年齢別平均賃金(70歳以上)に基づき,基礎収入を317万900円とし,後遺障害の逸失利益が算定されることになりました。
6 総括
本件は,交通事故直後からご相談いただきましたので,①休業損害の仮払いに関する対応,②後遺障害等級認定に関する対応,③過失割合に関する対応,④逸失利益に関する対応(家事従事者の基礎収入)と各段階で弁護士が事案分析,調査,交渉を行うことができ,依頼者の方は,保険会社対応のストレスから解放され,安心して通院治療に集中していただくことが出来ました。
交通事故案件は,早期のご相談がより良い解決に繋がることが数多くございますので,交通事故に遭われた方は,守口門真総合法律事務所にお早めにご相談ください。
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